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 昭和54年版 犯罪白書 第1編/第2章/第3節/1 

第3節 公務員犯罪

1 公務員犯罪の受理・処理

I-32表 公務員犯罪罪名別検察庁新規受理人員(昭和51年〜53年)

 昭和51年以降,検察庁が受理した公務員(公社・公団の職員のようないわゆる「みなす公務員」を除く。)による道交違反を除く犯罪を罪名別に見ると,I-32表のとおりである。受理人員総数は,最近7年間にわたって,ほぼ1万9,000人台を維持し,大きな変化は見られない。53年について,罪名別の受理人員を見ると,これまで逐年増加を続けてきた職権濫用は,前年より約28%も減少したが,偽造及び詐欺は前年より顕著に増加しており,また,近年減少を続けてきた収賄が再び増加したことが注目される。
 次に,最近3年間の検察庁における道交違反を除く公務員犯罪の処理状況を見ると,I-33表のとおりである。昭和53年における起訴人員総数は,1万332人とほぼ前年同様であり,その83.5%は業過によるものである。53年について,罪名別に前年と比較すると,業過ては約300人,収賄及び詐欺では各約100人それぞれ起訴人員が増加しており,詐欺及び窃盗の各起訴率は,いずれも2倍以上に上昇している。

1-33表 公務員犯罪罪名別検察庁処理人員(昭和51年〜53年)

I-34表 付審判請求事件決定状況(昭和48年〜52年)

 職権濫用に対する起訴は例年極めてまれであり,昭和53年においてもすべて不起訴とされている。これは,この種事件の大部分が,警察,検察庁,裁判所,矯正施設などの職員に対する被疑者,被告人,受刑者らによる告訴,告発事件であって,事実自体が犯罪に該当しないもの,虚偽の事実又は誇張した事実を申告したものなどが多いためとされている。不起訴処分に不服がある者は,更に裁判所に対して付審判を請求することができるが,最近5年間における付審判請求事件の決定状況は,I-34表のとおりであり,請求どおり決定されることは極めてまれで,昭和52年では1件にすぎない。