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 昭和54年版 犯罪白書 第1編/第2章/第1節/3 

3 内ゲバ事犯

 過激派集団各派間の党派闘争に起因する暴力事犯(以下「内ゲバ事犯」という。)の発生件数は,I-23表のとおり,昭和53年において32件であり,前年より9件減少し,過去10年来の最低となった。死傷者数は52人(うち,死亡者7人)で,前年よりわずかに減少したが,次のような悪質な事件が続いた。
 [1] 1月27日の茨城県内連続内ゲバ殺人事件-茨城県水戸市及び勝田市の過激派のアジト4箇所を対立過激派の数グループがほぼ同時に襲撃し,学生3人を殺害,3人に重傷を負わせた。
 [2] 2月10日の大阪市内内ゲバ殺人事件-過激派1人の居室を,鉄パイプ等を所持した対立過激派5人が襲撃して殺害した。
 [3] 9月30日の横浜国大内ゲバ殺人事件-横浜国大構内にいた過激派30数人を,対立過激派20数人が襲撃して鉄パイプ等による乱闘となり,1人が死亡し,2人が負傷した。

I-23表 内ゲバ事犯発生・検挙状況(昭和44年〜53年)

I-24表 爆発物使用事犯発生・爆発件数(昭和44年〜53年)

 内ゲバ事犯の発生件数が減少した背景には,各派とも組織防衛を徹底したこと,成田闘争に連続的・集中的に取り組んだことの影響などが考えられる。