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 昭和53年版 犯罪白書 第3編/第4章/第4節/1 

第4節 暴力団関係者の累犯

1 概  説

 本節では,累犯に密接な関係のある受刑者中の暴力団関係者を取り上げ,その累犯の傾向を考察することにする。かつて,法務総合研究所が法務省矯正局の協力を得て昭和39年1月に実施した調査では,暴力団関係受刑者数は6,527人であり,男子受刑者総数( 5万2,550人)中の比率は,12.4%であった。その中で2度以上の刑務所入所歴を有する者は,3,908人で,暴力団関係受刑者の59.9%を占めていた。
 III-76表は,昭和47年及び50年以降最近3年間の各年末現在で,受刑者総数中に暴力団関係者の占める比率を示したものである。52年末では,23.1%(実人員9,195人)を占め,30年代の末期に比べて,構成比・実人員共に増加していることが明らかである。
 III-77表は,昭和41年,45年及び50年以降最近3年間におけるいわゆる新受刑者中の暴力団関係者について,その刑法上の累犯・非累犯別人員の比率を見たものである。最近3年間では,刑法上の累犯は,おおむね60%前後を占めており,41年における刑法上の累犯56.5%を上回っている。また,いわゆる新受刑者全体の中で,刑法上の累犯の占める比率(最近3年間平均で51.4%)に比べても高い傾向にある。
 次に,III-78表は,同じく昭和41年,45年及び50年以降最近3年間におけるいわゆる哲受刑者中の暴力団関係受刑者について,その入所度数別人員の比率を見たものである。45年と比較して,2度以上の入所歴を有する者の比率は,最近3年間では上昇の傾向にあり,52年では45年を1.3%上回って,68.3%となっている。この数値は,新受刑者全体で2度以上の入所歴を有する者の比率(52年で58.4%)に比べても高い数値である。
 III-79表は,昭和47年から51年までの5年間におけるいわゆる新受刑者中の暴力団関係者について,その前刑出所後再犯までの期間を見たものである。暴力団関係受刑者の再犯期間別人員の構成比は,前節のIII-66表にある対照群のそれと大体一致しているが,6月未満までの数値では,対照群よりも低く,6月未満の再犯は比較的に少ないことがわかる。

III-76表 暴力団関係受刑者人員数(昭和47年,50年〜52年)

III-77表 暴力団関係新受刑者の累犯・非累犯別人員(昭和41年,45年,50年〜52年)

III-78表 暴力団関係新受刑者の入所度数別構成比(昭和41年,45年,50年〜52年)

III-79表 暴力団関係再入受刑者の前刑出所後再犯までの期間(昭和47年〜51年)