航空機をはじめ各種交通機関の目覚ましい発達，政治・経済・文化等の諸領域における国際化の進展に伴って，我が国への入国者数及び我が国からの出国者数の増加は，I-53表に示すとおり，著しいものがある。日本人の出国者数は，昭和42年を100とする指数で表すと，52年の指数は1,178に達し，外国人の入国者数も，この間に約2.5倍に増加している。
　このような入国者数及び出国者数の増加は，国内における外国人犯罪及び日本人の国外における犯罪の機会を増加させ，また，国際交流の活発化に伴い国際的関連を有する複雑な犯罪も多発する傾向にある。このような情勢から，刑事司法の分野においても，国際的共助・協力が一層必要とされるに至っている。
　以下，日本国内における外国人犯罪及び日本人の国外犯に分けて，その概略を説明する。

I-53表　外国人入国者数及び日本人出国者数の推移(昭和42年，48年〜52年)