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 昭和52年版 犯罪白書 第3編/第1章/第6節/2 

2 処遇の概要

 少年刑務所においては,20歳未満の少年受刑者のほか26歳未満の青年受刑者を収容し,両者共に徹底した教育訓練処遇を行っている。したがって,ここではこの両者に対する処遇を一括して述べることとする。
(1) 職業訓練
 職業訓練は,少年受刑者における重点的処遇の一つで,職業訓練課程を修了した者に対しては,公認の技能検定をはじめ,各種の試験を受けさせて,公認の資格・免許を取得させ,出所後の自立更生に資するように努めている。
 昭和51年度に取得した資格・免許は,職業訓練課程以外の種目を含めて全部で17種類で,取得人員は延べ944人に及んでいる。取得人員の多いものを挙げると,溶接工,珠算,技能士補等で,昨年とほぼ同様である。
 昭和51年に少年刑務所を出所した者のうち職業訓練を受けた者の就職状況を見ると,III-57表のとおりで,多くの受刑者が施設で受けた職業訓練を出所後の就職に役立てている。特に,自動車整備,調理,理容等の訓練を受けた者の就職率は高くなっている。

III-57表 職業訓練種目別出所受刑者就職状況(昭和51年)

 一般の刑務作業についても,青少年については特に,できる限り社会的に需要の多い種目について教育的に行うように配慮されている。
(2) 教科教育
 少年刑務所においては,義務教育未修了者及びその他の低学力者に対する教科教育が活発に行われている。特に松本少年刑務所では,公立中学校の分校を設け,全国の少年刑務所からの適格者をこれに入学させている。また,松本少年刑務所,奈良少年刑務所及び盛岡少年刑務所では,高等学校通信教育課程を設置している。なお,昭和25年以降行われてきている公費又は私費による通信教育については,52年4月現在,272人の受講生がある。
(3) 生活指導
 生活指導としては,規律・自主・協調などを目指して,入所時教育,生活訓練,カウンセリング,篤志面接委員による面接,体育・文化等の行事,余暇活動などが計画的に行われているが,受刑者も意欲的に参加している。