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 昭和52年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/2 

2 分類調査

 受刑者の処遇は,分類調査に始まる。分類調査は,受刑者に対する処遇を,できる限り個々の受刑者に適した方法で行うようにするため,各人の持つもろもろの問題点を明らかにし,本人に最もふさわしい個別的処遇計画を立てるもので,現代の各国行刑がほぼ一致して認める制度である。
 昭和47年7月に新たに施行された「受刑者分類規程」によると,分類調査は,[1]医学,心理学,教育学,社会学等の専門的知識及び技術に基づき,[2]入所時調査及び再調査(入所時調査後,執行刑期8月未満の者についてはおおむね2月ごと,その他の者についてはおおむね6月ごとに定期に行い,又は必要の都度臨時に行う調査)として行われ,[3]入所時調査の期間は,おおむね2箇月とされ,[4]心情相談,心理治療,オリエンテーションその他の適当な措置が併せ行われる。この分類調査の結果は総合されて,受刑者の分類級(後出の収容分類級及び処遇分類級)の決定,保安・作業・教育等の処遇指針の設定,移送の実施,累進処遇の審査,仮釈放申請の審査,釈放に伴う必要な措置等,収容及び処遇の実施に役立てられている。このために,全国各矯正管区の管内には,それぞれ分類センターとしての施設(中野・名古屋・広島・福岡・宮城・札幌・高松の各刑務所及び大阪拘置所)が指定され,[1]一定基準に該当する新受刑者の精密な入所時調査及びその結果による処遇施設への移送,[2]再調査としての精密調査及び治療的処遇,[3]他の施設に対しての分類に関する助言・指導等が行われている。