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 昭和51年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/5 

5 公判の審理期間

 最近5年間における起訴から通常第一審までの審理期間を,年次ごとに百分比にして,地方裁判所と簡易裁判所に分けて見ると,II-22表のとおりである。49年については,審理が3箇月以内に終局したものは,地方裁判所で45.9%,簡易裁判所で72.3%となっており,6箇月以内に終局したものは,地方裁判所で77.3%,簡易裁判所で88.1%となっている。また,終局までに1年を超えるものは,地方裁判所では9.3%,簡易裁判所では4.8%となっている。

II-22表 通常第一審事件の審理期間(昭和45年〜49年)

 次に,最近5年間における起訴から控訴審,上告審の終局までの審理期間を,年次ごとに百分比にし,控訴審について見たのがII-23表,上告審について見たのが,II-24表である。49年について見ると,控訴審では,終局総人員の60.3%は1年以内に終局しているが,10.5%は終局までに3年を超える審理期間を要しており,上告審では,終局総人員の84.9%は3年以内に終局しているが,終局までに5年を超える審理期間を要したものが7.4%あった。

II-23表 控訴事件の起訴から控訴審終局までの審理期間(昭和45年〜49年)

II-24表 上告事件の起訴から上告審終局までの審理期間(昭和45年〜49年)

 次に,最近3年間の各年末における未済総延べ人員及び係属2年を超える未済延べ人員(以下「長期係属延べ人員」という。)を裁判所別に示すと,II-25表のとおりである。49年における長期係属延べ人員を見ると,実数は,最高裁判所を除く各裁判所で前年より減少しているが,未済総延べ人員中に占める割合は,簡易裁判所を除き,いずれの裁判所においても増加している。また,各年を通じ,特に地方裁判所における長期係属延べ人員の未済総延べ人員に占める割合が大きく,裁判の長期化傾向は地方裁判所において著しいと言えよう。

II-25表 裁判所未済総延べ人員及び2年を超える長期係属延べ人員の推移(昭和47年〜49年)

 ちなみに,通常第一審の地方裁判所について,昭和45年から49年までの5年間にわたり,被告人1人当たりの平均審理期間,公判を開いた人員1人当たりの平均開廷回数,平均開廷間隔の推移を見ると,II-26表のとおりである。地方裁判所における平均審理期間は,46年以降わずかずつ伸長する傾向を見せている。裁判部別に見ると,特に裁定合議事件において,近年,平均審理期間及び平均開廷回数の伸長及び増加が著しい。

II-26表 地方裁判所における平均審理期間,平均開廷回数及び平均開廷間隔(昭和45年〜49年)