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 昭和50年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節/1 

1 罪種・罪名

 新受刑者の罪種及び罪名について見ると,前述のように,昭和49年では,新受刑者の86.3%が刑法犯であるが,その比率は漸次下降の傾向を示している。刑法犯では,窃盗が約三分の一を占め,次が業務上(重)過失致死傷(12.5%)である。業過を除く刑法犯において,新受刑者中の構成比が増大傾向を示している罪名は,傷害,強姦・わいせつ,暴力行為等処罰に関する法律違反及び殺人などの凶悪・粗暴犯である(II-14図)。このような凶悪・粗暴犯罪者の増加は,施設の保安維持上,格段の配慮を必要とするものである。特別法犯では,近年,道路交通法違反及び覚せい剤取締法違反の新受刑者の実人員が急増しており,49年では,45年に比較してそれぞれ3.7倍及び10.2倍になっている。これに伴って,両者の特別法犯新受刑者中に占める比率は,年々著しい上昇を示している(II-15図及びII-16図)。このほか,傷害・暴行及び麻薬取締法違反の新受刑者数も,年々増加の傾向を見せている。

II-14図 構成比が増大している刑法犯新受刑者の比率の推移(昭和30年〜49年)

II-15図 実人員が増加している特別法犯新受刑者人員の推移(昭和30年〜49年)

II-16図 特別法犯新受刑者の主要罪名別比率の推移(昭和30年〜49年)