前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和50年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/1 

1 収容状況

 補導処分による収容期間は,6箇月と定められている。
 婦人補導院開設以来の入出院状況は,II-74表のとおりであり,最近数年間の収容者の減少傾向は著しい。婦人補導院の新収容者の推移と売春防止法違反によって刑務所に収容された女子受刑者の推移を示すと,II-8図のとおりである。婦人補導院の新収容者は,昭和35年をピークとして,以後減少を続けている。新受刑者の場合にも,37年と41年にピークがあるが,以後は同様に減少傾向を示している。

II-74表 婦人補導院の入出院状況(昭和33年〜49年)

II-8図 婦人補導院新収容者及び売春防止法違反女子新受刑者の年次別推移(昭和33年〜49年)

 婦人補導院新収容者の減少傾向の背景的要因としては,売春防止法違反による女子の検挙人員の大幅な減少のほかに,有罪となっても単純執行猶予や罰金となる比率が高いことが挙げられよう。試みに,新収容者の最も多かった昭和35年について売春防止法違反事件による検察庁の処理状況を見ると,既済総数のうち,女子は1万4,291人で,そのうち起訴は6,985人である。また,同年における同事件による通常第一審の終局人員総数のうち,女子は1,959人で,そのうち1,754人が懲役に処せられ,その89.2%が執行猶予になっているが,補導処分に付せられるのはそのうちの約四分の一程度である。また,同年の略式手続による罰金の言渡しを受けた者は5,004人である。通常第一審による罰金の言渡しを受けた178人と略式手続による罰金の言渡人員から,起訴人員総数に対する罰金の言渡率を推計すると,7割強となろう。49年については,資料の都合上詳細な検討はできないが,検察庁における女子の既済総数が2,286人と35年の六分の一以下に激減しており,懲役の執行猶予率,罰金率等は35年とさほどの差異はないと考えられる。