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 昭和50年版 犯罪白書 第2編/第2章/第1節/3 

3 被疑者の逮捕と勾留

 最近5年間における検察庁の既済人員のうち,刑法犯と特別法犯について,逮捕された者,勾留請求された者,勾留された者の各人員とそれらが既済人員のうちに占める割合を見ると,II-4表のとおりである。逮捕・勾留された者の実数は,逐年減少している。また,逮捕された者が既済総数に占める割合は,11.6%から12.6%の間を,勾留された者が既済総数に占める割合は,7.1%から7.8%の間を上下している。昭和49年について見ると,逮捕された者は既済総人員の12.2%で,9割近い者が逮捕されることなく,いわゆる在宅事件として処理されている。この逮捕された者のうち,検察庁で逮捕された者は754人にすぎない。警察で逮捕後,検察官に送致する以前に釈放された者は1万3,353人で,警察における逮捕者総数の10.9%に当たり,残る89.1%の者は,逮捕のまま検察官に送致されている。

II-4表 検察庁既済事件の逮捕・勾留別人員(昭和45年〜49年)

 昭和49年中に,検察官が自ら逮捕し又は逮捕された被疑者を受け取った後,釈放した人員は2万4,232人で,検察官が身柄事件として受理した被疑者総数の22.1%に当たる。検察官が勾留請求した者の数は7万9,145人で,その結果勾留された者の数は7万8,114人である。勾留請求が却下された者は1,031人で,却下率は請求総数の1.3%である。
 勾留された者が検察庁でどのような処分を受けているかを昭和49年について見ると,II-5表のとおりであり,起訴が72.5%,不起訴が22.0%などとなっている。

II-5表 勾留被疑者の処分別人員(昭和49年)

 次に,勾留された被疑者の勾留期間について,期間を5日ごとに区分して百分比を見ると,II-6表のとおりである。勾留された者のうち,79.2%が10日の勾留期間内に処理され,残る20.8%が勾留期間を延長されている。なお,勾留期間20日を超える者が133人いるが,これは,同一被疑者が他事件で引き続き勾留され,前の勾留期間と合計して20日間を超えることとなった例外的なものである。

II-6表 被疑者勾留期間別人員(昭和49年)