前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和48年版 犯罪白書 第3編/第1章/第3節/1 

第3節 少年警察・検察・裁判

1 少年警察

 警察官は,非行少年を早期に発見し,捜査又は調査の結果,これを選別して関係機関に送致又は通告し,あるいは,事実上警察限りの措置として,家庭,学校,職場などへの必要な連絡,注意,助言などを行って,非行の防止を図るばかりでなく,青少年の健全育成に資するような活動を行っている。
 昭和47年において,刑法犯により,警察に検挙された犯罪少年は,16万2,723人で,前年に比べて1万8,723人の減少となっている。自動車交通に起因する業務上(重)過失致死傷を犯した6万1,461人を除くと,10万1,262人で,これも,前年より6,582人の減少である。また,道交違反を除く特別法違反として送致された者は,9,726人で,前年よりわずかながら増加している。このほか,触法少年は,3万6,129人で,前年より2,052人増加しており,家庭裁判所に送致又は児童相談所に通告された虞犯少年は6,957人であり,前年より1,712人減少している。
 これら交通関係の業務上(重)過失致死傷を除く犯罪少年,触法少年の処理状況を,III-7図についてみると,犯罪少年のうち,11.6%が身柄を拘束されたまま検察官又は家庭裁判所に送致され,残り88.4%は不拘束送致であるが,このうち,14.7%は簡易送致の方式によっている。触法少年の45.0%が児童相談所又は福祉事務所に通告され,残りの55.0%に対しては,警察限りの措置がとられている。

III-7図 非行少年の警察における処理別人員と百分比(刑法犯)(昭和47年)

 このように,多数の非行少年が事実上警察限りの措置にゆだねられている現状は,少年の非行防止のために特に初期の措置が必要とされることと併せ考え,少年警察が少年非行対策上重要な役割を果たしていることを示しているものである。
 ちなみに,少年事件処理手続の概略について,III-8図によって述べると,犯罪少年のうち,罰金以下の刑に当たる罪を犯した少年は,警察から家庭裁判所に直接送致され,禁錮以上の刑に当たる罪を犯した少年は,検察官に送致され,触法少年と虞犯少年は,それぞれ,児童相談所又は福祉事務所に通告され,あるいは,家庭裁判所に送致されることになっている。

III-8図 少年事件処理手続概略図