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 昭和47年版 犯罪白書 第二編/第三章/二/5 

5 保護観察中の再犯および保護観察終了状況

 昭和四六年中に保護観察が終了した者の総数は五八,二五一人で,そのうち四〇,五一四人,すなわち六九・六%は保護観察期間満了によるものである。このほか,前に述べたように,保護観察成績の良好者または不良者に対する特別措置,あるいは再犯等により,保護観察期間の中途で保護観察を終了する者がある。
 昭和四六年中に保護観察を終了した者の終了事由別による概況は,II-89表のとおりである。これによれば,期間満了の占める率では仮出獄者の場合が最も高く(九三・八%),次いで少年院仮退院者(八一・三%),保護観察付執行猶予者(七六・九%),保護観察処分少年(五一・三%)の順となっている。

II-89表 保護観察終了者の終了事由別人員(昭和46年)

 次に,前述したような保護観察の成績良好者に対する終了措置によるものの割合をみると,昭和四六年において,保護観察処分少年の「解除」は,四一・一%に及んでいるのに対し,少年院仮退院者の「退院」および仮出獄者の「不定期刑終了」は,それぞれ三・三%および〇・一%にとどまっている。もっとも,後者の比率がとくに小さいのは,仮出獄者の大多数が定期刑によるものであることにもよる。なお,保護観察付執行猶予者については,解除に相当する制度がない。
 次に,再犯等による「取消」では,保護観察付執行猶予者の場合の比率(二一・六%)が最も高く,少年院仮退院者(一四・五%),保護観察処分少年(七・〇%),仮出獄者(四・八%)の順となっている。仮出獄者の取消率がこのように低いのは,仮出獄期間が一般に短いことによるものと考えられる。なお,取消のほか,少年院仮退院者については,少年院への「戻し収容」による終了〇・六%があり,仮出獄者については,所在不明となり,保護観察の停止中に時効が完成したために終了となった者〇・八%がある。
 昭和四六年中に保護観察を終了した者のうち,保護観察期間中の犯罪,非行により処分された者の処分別状況は,II-90表のとおりである。これによると,処分を受けた者の総数は七,四四一人で,保護観察終了総人員の一二・八%にあたる。これを保護観察の種別ごとの割合でみると,保護観察処分少年で一二・五%,少年院仮退院者で二五・六%,仮出獄者で五・〇%,保護観察付執行猶予者で二五・六%の者が,それぞれ,保護観察中の犯罪・非行により処分を受けている。仮出獄者の割合が低いのは,取消率に関連して前述したところと同じ理由によるものと考えられる。

II-90表 保護観察中の犯罪・非行により処分された者の状況(昭和46年)

 右の処分を受けた者について,保護観察に付されたときから犯罪,非行を犯したときまでの経過期間をみると,II-91表のとおりである。同表によれば,六月以内の犯罪,非行は,全種別の総数においては三七・八%であり,各種別ごとでは,保護観察処分少年で三二・九%,少年院仮退院者で四四・八%,仮出獄者で六六・三%,保護観察付執行猶予者で二九・五%となっている。さらに,一年以内に再犯に及んだ者の割合でいえば,総数では六二・〇%であり,保護観察処分少年で五八・九%,少年院仮退院者で七二・四%,仮出獄者で八一・三%,保護観察付執行猶予者で五三・五%となっている。このように,保護観察開始後比較的早い時期の再犯がかなりの率を占めており,その段階における処遇強化の必要性が示唆されるところである。

II-91表 保護観察中の犯罪・非行までの経過期間(昭和46年)