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 昭和47年版 犯罪白書 第二編/第二章/二 

二 婦人補導院における処遇

 婦人補導院の新収容者は年々減少傾向を続けてきたが,昭和四六年中の新収容者は,四六人で,前年に比べ三人減少している。
 最近三年間の入出院状況は,II-67表のとおりである。入院者数の減少にともなって出院者数も減少し,昭和四六年には退院者四五人,仮退院者五人の合計五〇人となっている。仮退院は,補導成績の良好な者について,補導期間満了前に,地方更生保護委員会の決定によって許可される。仮退院者は,例年きわめて少ないが,四六年には五人を数えている。

II-67表 婦人補導院の入出院状況(昭和44〜46年)

 新収容者の知能ならびに精神状況を示したものがII-68表および69表である。知能指数の低い者が収容者の大部分を占める傾向は例年と変わらない。また,何らかの特殊処遇を必要とする精神障害者の割合は,過半数を占めており,この傾向も例年と変わらない。

II-68表 婦人補導院新収容者の知能指数別人員(昭和44〜46年)

II-69表 婦人補導院新収容者の精神状況(昭和44〜46年)

 婦人補導院における処遇は,在院者が社会生活に適応するために必要な生活指導と職業補導,心身の障害に対する医療措置を行なうことが重点となっている。生活指導は,性道徳の自覚をはかり,婦人として必要な徳性を育て,在院者を社会人として自立させることを目標とし,各種の教育活動やクラブ活動,面接相談などが活発に実施されている。職業補導においては,在院者の知能や職業適性の特質から,家事サービスに重点をおいているがなお,園芸,洋裁,手芸なども行なわれている。
 昭和四六年における,新収容者に対する検診結果をみると,性病にかかっている者四五・六%,性病以外の傷病者二一・七%となっている。これらの疾患者のうち,収容期間の関係で,未治ゆのまま出院せざるをえない者の割合は,四六年においては,性病で六六・七%,その他の傷病で二九・四%である。
 以上のように,婦人補導院在院者には心身に障害のある者がきわめて多い。また,帰住先の環境に恵まれない者が多く,補導期間も六月に限られているなど,補導処分には効果をあげにくい種々の事情が重なっている。今後の婦人補導院の運営に関しては,処遇面の改善工夫にいっそう配慮するとともに,退院後における社会復帰のための諸施策を関係機関の協力によって進めることが必要であろう。