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 昭和47年版 犯罪白書 第一編/第二章/五/1 

1 精神障害者に対する措置状況

 厚生省の調査によれば,昭和四七年二月末における全国の精神病院,および一般病院併設精神科の精神科病床数は,二五四,〇三四床であった。これに対して,入院患者数は,二六三,七二六人であって,差し引き九,六九二人の過剰入院がみられた。入院患者のうち,精神衛生法に基づいて都道府県知事が強制的に行なう,いわゆる措置入院(同法二九条)による患者は,七六,三三三人であって,病床数の約三割を占めており,前年同期に比べて,一三七人減少している。
 次に,精神衛生法によれば,精神障害者またはその疑いのある者を知った場合は,その者について,精神衛生鑑定医の診察と必要な保護を,誰でも,都道府県知事に申請することができる(同法二三条)。また警察官,検察官,保護観察所の長,および矯正施設の長は,それぞれ一定の要件のもとで,都道府県知事に通報する義務を負っている(同法二四条ないし二六条)。
 この申請と通報の数を,最近一〇年間についてみると,I-50表[1]および[2]に示すごとく,昭和三七年以降,一般からの申請は,しだいに減少している。これに対し通報件数は,四一年まで増加し,その後減少したが,四五年以降増加している。申請または通報に基づいて精神障害者と認定された者の数も,ほぼ同様の傾向をもって増減している。通報件数の内訳をみると,警察官によるものが,例年,通報総数の八割弱を占めている。

I-50表 精神衛生法による申請・通報件数および精神障害者数(昭和37〜46年)