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 昭和46年版 犯罪白書 第三編/第一章/四/2 

2 収容状況

 少年鑑別所に収容される少年は,家庭裁判所が受理した少年事件のうち,裁判官が,審判を行なうために身柄を確保して鑑別する必要があると認めた少年および検察官が勾留の請求に代え観護措置を請求した少年で,裁判官の観護措置の決定によって,少年鑑別所に送致されたものである。勾留に代わるものを除き,本来の観護措置による収容期間は,原則として二週間であるが,とくに継続の必要があるときは,一回に限り更新されるので,最大限四週間となる。従来,収容期間の全国平均は,二〇日強となっている。
 昭和四五年における全国の少年鑑別所の一日平均収容人員は,一,〇八四人で,前年のそれと比較すると,二一九人減少している。
 次に,最近五年間の入所状況をみると,III-63表のとおりである。

III-63表 少年鑑別所入所状況(昭和41〜45年)

 昭和四五年における新収容者についてみると,一九,六三三人で,前年に比較し,三,四八〇人(男子においては,三,〇九三人,女子においては三八七人)減少している。新収容者を入所事由別にみると,その九〇・五%は本来の観護措置によるもので,勾留に代わる観護の措置によるものは,新収容者総数の約八%にあたっている。
 新収容者を男女別および年齢別に,各年次総数に対する比率を求めると,III-64表のとおりである。女子は,昭和四五年において総数の八・八%にあたる。最近五年間の推移をみると,多少の変化はあるが,女子はおおむね総数の一〇%弱程度で推移し顕著な変化はみられない。年齢層別にみると,男子にあっては,一五歳以下の年少少年の割合が昭和四四年まで減少をつづけたが,昭和四五年に増加し,一六,七歳の中間少年の割合はほぼ一貫して減少傾向を示しているのに対し,一八歳以上の年長少年の割合は,昭和四四年まで増加をつづけ,昭和四五年において減少を示している。女子にあっては,年長少年は昭和四二年以降その割合の減少傾向がみられ,年少少年および中間少年にあっては,起伏があり,一定の傾向を見いだしがたいが,昭和四五年においては前年に比較し,年少少年の割合は増加し,中間少年の割合は減少している。

III-64表 新収容者の性別・年齢別人員の比率(昭和41〜45年)

 最近五年間における少年鑑別所の出所状況をみると,III-65表に示すとおりである。昭和四五年における年間出所人員は,二二,〇六七人で,このうち,保護処分決定による者は一〇,一七二人,総数の四六・一%であり,検察官送致決定による者は一,二四〇人,総数の五・六%,中間処分である試験観察決定による者は四,〇九〇人,総数の一八・五%となっている。

III-65表 少年鑑別所出所状況(昭和41〜45年)

 昭和四一年以降のこれらの出所人員中の構成比をみると,保護処分決定はおおむね四四〜四八%,検察官送致決定は五〜七%,試験観察決定は,一七〜一九%の間にある。施設間移送による出所人員は,昭和四一年において,総出所人員の八・三%であるが,逐年増加し,昭和四五年においては一一・一%となっている。これは,すでに触れた少年非行現象の広域化の傾向を示すものといえよう。