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 昭和44年版 犯罪白書 第二編/第四章/一/4 

4 少年の刑事裁判

 家庭裁判所が,刑事処分を相当と認めて検察官に送致した少年事件については,公訴を提起するに足りる犯罪の嫌疑がない場合,送致を受けた事件について,犯罪の情状などに影響を及ぼすべき新たな事情を発見したため,訴追を相当でないと思料する場合,または,送致後の情況により訴追を相当でないと思料する場合以外は,検察官は,公訴を提起しなければならず,事案に応じて,公判請求,略式命令請求または即決裁判請求の手続により起訴され,裁判がなされる。このようにして起訴され,第一審裁判所において有罪の認定を受けた少年に対する科刑の概況を,昭和三九年以降についてみると,II-177表のとおりである。これによると,有罪人員総数,懲役または禁錮刑に処せられた者,罰金刑に処せられた者が,いずれも,昭和四二年までは増加の傾向を示していたが,同年から昭和四三年にかけて急減している。これは,少年犯罪が一般的に減少しているほか,先にも触れたとおり,成人について,いわゆる「交通反則通告制度」が実施されたことに影響されて,道交違反の検察官送致率が,激減したことによるものであろう。

II-177表 少年に対する科刑の概況(第一審有罪人員)(昭和39〜43年)