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 昭和44年版 犯罪白書 第一編/第二章/一/4 

4 性犯罪

 ここで性犯罪とは,強姦(同致死傷を含む。),強制わいせつ(同致死傷を含む。),公然わいせつおよびわいせつ文書・図画の頒布・販売等をいう。このうち,わいせつ文書の頒布等は,強姦とか強制わいせつなどとは,多少性質を異にするものではあるが,統計資料の都合から,いちおう,性犯罪として取り扱うことにした。
 I-22表およびI-23表は,性犯罪の発生件数と検挙人員を示すものである。まず,強姦についてみると,発生件数,検挙人員ともに,最近は,わずかずつ,減少する傾向を示している。しかし,わが国において,強姦は,昭和三三年に急激に増加しており,その後今日に至るまで,なお相当数を維持していることが注目される。強制わいせつ,公然わいせつおよびわいせつ文書頒布等の発生件数は,昭和四二年には,戦後最高の数字に達したが,四三年は,わずかに減少している。また,検挙人員は,昭和四一年をピークとして,その後,わずかに減少傾向を示している。検察統計により,昭和三九年以降の性犯罪の罪名別検察庁新規受理人員をみると,I-24表のとおりである。これによると,昭和四三年には,公然わいせつが,前年に比べて増加しているほかは,すべてわずかに減少しているが,昭和三九年を一〇〇とする昭和四三年の指数をみると,強制わいせつが一一四,公然わいせつが一三九,わいせつ文書頒布等が一二四と,いずれも増加しており,昭和三三年に比べて,ほぼ倍増していることは注意を要するところであろう。

I-22表 性犯罪の発生件数(昭和33,39〜43年)

I-23表 性犯罪検挙人員(昭和33,39〜43年)

I-24表 性犯罪罪名別検察庁新規受理人員(昭和33,39〜43年)