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 昭和35年版 犯罪白書 第四編/第二章/五/1 

五 少年の保護観察―一号観察

1 この保護観察の特質

 この保護観察は,戦後にはじめて実施されたものでない。旧少年法時代には,「少年保護司ノ観察」とよばれたものである。現行の少年法では,家庭裁判所の決定する三種の処分のうちの一であることは,前に述べた。それは,普通,一号観察とよばれ,その期間は,二〇才に達するまでであるが,本人が二〇才に達するまでに二年に満たない場合には,二年である。他の保護観察とおなじように,本人に遵守事項が命ぜられるが,その特別な遵守事項は,保護観察所長が,家庭裁判所の意見をきいてさだめる。これをさだめるにあたっては,保護観察官が本人や保護者に面接した結果などを資料として参考にする。事項の内容は,単なる禁止や制限にとどまらず,積極的な生活目標をあたえることに考慮がはらわれている。しかし,この遵守事項に違反しても,他の保護観察の場合のように,それだけで,保護観察を取り消して,他の処分に変更するということはない。
 保護観察をつづけているうち,本人が健全な社会の一員として更生し,もはや保護観察の必要がないと認めるときは,保護観察所長の権限で,これを解除することができる。その基準は,(一)保護観察に付されてから,一年以上を経過していること,(二)保護観察の成績が,「良好」の状態を三ヵ月以上継続していること,(三)本人の性質に安定性があり,かつ,向上の傾向が認められることである。
 保護観察中その成績がかんばしくなく,保護者の正当な監督に服さない性癖があったり,家庭に寄りつかなかったり,犯罪性のある人や不道徳の人と交わり,いかがわしい場所に出入りし,自己または他人の徳性を害する行為がやめられなかったりすると,保護観察所長は,あらためて,家庭裁判所にその少年を通告することができる。この場合には,家庭裁判所は,あらたに審判を行ない,本人が二三才をこえない期間内で,期間をさだめてあらたな保護処分(保護観察または少年院収容)をすることができる。