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 昭和35年版 犯罪白書 第四編/第二章/二/1 

1 児童相談所

 児童相談所は,いわゆる問題児や特殊児童の保護指導をはじめ,一般児童の教育育成など,あらゆる児童福祉の増進に関する相談や通告をうけて,適当な解決をはかる機関である。
 児童相談所は,現在,各都道府県にその設置が義務づけられているが,その数は,主要都市一二二カ所におよび,その組織は,措置部,判定指導部,一時保護部の三部制をとっているところが多い。措置部は,主としてケースワーカーによって構成され,少年の生活環境や生活歴からくる問題の解決にあたっている。判定指導部は,措置部の仕事に,精神医学や臨床心理学の専門家による技術的援助をあたえるとともに,ひろく一般児童の診断と指導とにあたっている。そして,一時保護部は,これら二つの部の仕事の遂行に必要な場合に一時的に身柄を収容する役割をはたしている。なお,児童相談所には,そのフィールド・ワークを実施するため,若干名の児童福祉司がおかれている。
 児童相談所では,年間二〇万人の相談をうけつけているが(IV-44表),そのうち,非行に関するものは二三パーセント,非行や反社会的行為にまでいたらぬ問題行為に関するものは三〇パーセントに達している。

IV-44表 児童相談所受付件数と率(昭和33年)

 家庭裁判所の審判の結果,児童相談所に送られてくるケースは,昭和三三年の家庭裁判所の統計では,年間七二〇件にすぎないが,そのうち強制措置を必要とする一一八件は,児童相談所で鑑別や調査をしたうえ,教護院に送致されている。また,少年法では,家庭裁判所は直接に少年を教護院に送致できることになっているが,取扱いとして,いちおう,児童相談所の措置によっている(年間三〇三件)。