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 昭和35年版 犯罪白書 第四編/第一章/二/1 

二 戦後における少年犯罪の傾向

1 昭和三三年における検挙人員

 一四才以上の少年で,昭和三三年に,刑法犯によって警察に検挙された者の数は,一二四,三七九人で(警察庁「犯罪統計書」による),一四才以上二〇才未満の少年人口一,〇〇〇人につき一一・一人の割合である。これは,一般有責人口(成人と少年とを含む一四才以上の男女人口)における犯罪生起率にくらべて高い。すなわち,昭和三三年に刑法犯で警察に検挙された成人を含む一四才以上の総数は,五四五,二七二人で,人口一,〇〇〇人につき八・三人にあたり,この一般の生起率にくらべると,少年の場合は,一一・一人だから高い。しかし,二〇才以上二五才未満者にくらべると低い(IV-1表参照)。

IV-1表 成人・少年刑法犯検挙人員と人口に対する率(昭和33年)

 以上は,刑法犯(刑法典にさだめられた犯罪)による検挙者数についてのことであるが,犯罪は刑法犯にかぎられるわけではないから,刑法犯以外のいわゆる特別法犯(そのおもなものは道路交通取締法令違反などである)についても調べてみる必要がある。しかし,特別法犯については,IV-1表に対応する統計資料がないので,これに近いものとして,特別法犯で検察庁に送られた少年の数をあげている「検察統計年報」をみるほかはない。IV-2表は,この観点から,昭和三三年に刑法犯および特別法犯によって検察庁に送られた者の数を少年と成人とについて比較したものである(この場合に,検挙人員とのあいだに,相当なヒラキがあるのは,罰金刑のみの法定刑にあたるものは,検察庁に送らず,家庭裁判所に直送するからである)。これによれば,少年人口一,〇〇〇人につき三三・六人で,平均値四一・六よりも低い。

IV-2表 特別法犯・刑法犯別少年・成人の被疑者数と人口に対する率(昭和33年)