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 昭和35年版 犯罪白書 第三編/第三章/四/1 

四 執行猶予者に対する保護観察―四号観察

1 四号観察の特質

 執行猶予者に対する保護観察は,刑法の一部改正により昭和二九年七月一日から実施された。それは,二種類に分かれる。その一は,初度目の執行猶予者に対し保護観察をつける場合であり,その二は,前に執行猶予の言渡をうけた者がその猶予期間中にふたたび罪を犯し,その結果一年以下の懲役禁錮の言渡をうけ,これに再度の執行猶予が言い渡されるにさいし,保護観察のつけられる場合である。初度目の執行猶予者に対して保護観察をつけるかどうかは,裁判所の裁量にゆだねられているが,再度目の執行猶予者に対しては,かならず保護観察をつけなければならないことにさだめられている。
 四号観察は,他の保護観察とちがう点が二つある。その一は,遵守事項が緩和されていることであり,その二は,仮解除の措置がみとめられていることである。他の保護観察には,一般遵守事項のほかに特別遵守事項をさだめることができるが,四号観察には,特別遵守事項をつけられないことになっているのみならず,一般遵守事項も,他のそれにくらべてかなり緩和されたかたちをとっている。すなわち,「善行を保持すること」の一項のみが遵守事項で,転居や旅行(一月以上のものにかぎる)についても,他の保護観察は保護観察所の許可を必要としているのに,届出でたりることになっている。
 仮解除の措置というのは,四号観察に付された者がおおむね六ヵ月以上成績良好の状態をつづけ,もはや指導監督を必要としないと認められるようになった場合に,地方更生保護委員会の権限でその保護観察をかりに解除するもので,いわば,保護観察の仮出獄にあたるものである。
 四号観察対象者が遵守事項を守らず,その情状が重いときは,再犯をしなくても,刑の執行猶予を取り消すことができる。この取消は,保護観察所長が検察官に書面で申し出ると,検察官は裁判所に取消を請求し,取り消すかどうかを裁判所が決定する。